空手家にとって、帯は「武士の刀」の象徴であると学びました。
稽古中に道着が乱れたり、帯がほどけたりしたときは、道着を正しく整え、帯を結び直すことが大切な礼儀のひとつです。
10年ほど前から帯の素材が「ナイロン製」に変わりました。
それまでの「木綿製」の帯は、締め続けることで次第に馴染んできて、ほどけにくくなりましたが、「ナイロン製」の帯はそれがなく硬いままです。
帯の素材が変わりほどけやすくなったため、帯の結び方も変わり始めました。
伝統的な帯の結び方には、「本結び」と「一本結び」があります。
「本結び」とは、帯の真ん中を腹部のあたりにあて、後ろに回してさらに正面で結びます。
「一本結び」とは、帯の先端を腹部のあたりに押さえ、片方をクルクルと相撲のマワシのように回して正面で結びます。
「本結び」は後ろで交差し、「一本結び」は後ろが平らになるのが特徴です。
この二つの結び方の違いは、帯の腰への廻し方の違いですが、近年は結び方が複雑な「さし結び」という聞き慣れない結び方が目に付きます。
調べたところ、この結び方は、空手着が柔道着を参考に作られたときに、既に考案されていたという歴史のある結び方でした。
結び目は旧来のなじみのある結び目より、随分大きくなり、結び方も複雑ですがほどけにくいという特徴があります。
見慣れればほどけず美しいという見方もありますが、ちょっと違和感があります。

このように帯素材がナイロン製に変わったことで、今までの伝統的結び方が、徐々に「さし結び」を推奨されるようになりました。
いずれも帯の結び方には違いなく、あまりこだわるのも良くないとは思いますが、空手の国際大会で、空手着の乱れを気にするあまり、近い将来帯を結ばない空手着を義務づけるという話も耳にします。
冒頭で書いたように「帯は武士の刀の象徴」という日本的な考え方が、国際的風潮で否定されることは如何なものであろうか。
柔道界で青色の道着が使用されるようになったことが思い出されます。これだって、外国からの圧力ですからね。
僕は、今でも四半世紀前に手にした木綿製の帯を締めています。
とても愛着があり、僕の身体の一部と言っていいくらい大切な帯です。
随分傷みもあり、色落ちと表面の擦れが大きく白の部分が増えました。
でもこの帯が僕にとっての「武士の魂」なんです。



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