
空手の稽古のほぼ70%は基本技の修得に費やされています。なぜそんなに基本的なことばかりをやるのかと思うほどです。
ここでは、僕が学んでいる「極真会館」を例に進めていきたいと思います。
たぶん、他流の空手であってもそれほどの違いは無いと思いますので、稽古の際の参考にしていただければと思います。
極真空手では、基本稽古、移動稽古、型稽古、約束三本組手までの稽古は基本稽古の範疇に入ります。
その後に行う、猫足立ちや組手立ち(自然体)で行う「受け・さばき」「スパーリング」「組手」「ミット打ち」などは、基本を習得した上での応用稽古です。
極真空手というと、組手ばかりをして、空手の基本は適当に流して終わりにしているイメージを持たれている方もいると思います。でも、実際は皆さんの想像以上に基本を重視しています。
今回は、基本稽古で使用する立ち方を説明します。
【三戦立ち】
右足を左足に引き寄せつつ円を描き前に足を出します。つまり一歩前に進み「右三戦立ち」の立ち方になります。
この際、両腕は下から交差させながら拳を肩あたりにすくい上げます。
左右の歩幅は、親指の位置が肩幅程度になります。あまり広くとると両太ももを絞めることができなくなりますので注意してください。
三戦立ちは、両ももを締めて金的を守る形をとります。一歩前に進んだ瞬間は丹田を中心に全身の筋肉を締め、それから緩めます。


【騎馬立ち】
歩幅は、左右に肩幅の2倍程度で、足の指先は正面に向けます。
両膝は外側に張り、しっかり腰を落とします。

【騎馬立ちとナイハンチ立ちの類似性】
騎馬立ちは主に足腰の鍛錬に用いられていますが、元来は組手に使用した立ち方だったはずです。
この騎馬立ちと似ている立ち方に「ナイハンチ立ち」があります。
沖縄空手の大家で実戦空手で名高い、日本傳流兵法本部拳法創始者本部朝基は、ナイハンチの形をとても大切にしておりました。
(騎馬立ちの腰を高くし、歩幅を狭くした「半騎馬立ち」のようなナイハンチ立ち)

ナイハンチ立ちを「左右いずれかに捻ったものが実戦の立ち方である」というような意味の言葉を残しています。
つまり、騎馬立ちは、伝承の過程でその用法が失伝し、足腰を鍛えるための立ち方という意味に変わってしまったのではないだろうか。本来はナイハンチ立ちと同様な立ち方であった可能性が大きいと僕は思います。
【前屈立ち】
左右の足は肩幅程度に開け、前後には肩幅の2倍程度後ろに足を下げます。
この時、後ろの足の膝はピーンと張ります。流派によっては張らないやり方もあります。
各流派において、一番稽古の際に使用される立ち方です。
立ち方の説明で、「肩幅の2倍」などと表現しますが、あくまで目安で、個人の体型によっても違ってきます。個人の体型を考慮した上で、その立ち方の目的を達成できる歩幅を覚えてください。

【前屈立ちと撞木立ちの類似性】
前屈立ちは、正面から見ると左右の歩幅が肩幅程度に開いています。
この立ち方と似ている立ち方に「撞木立ち」があります。
撞木立ちは正面から見た場合、前の足と後ろの足が「一直線上」に並び、肩幅の広さをとりません。
この立ち方は、合気道や剣術、棒術でも大切な立ち方として用いられており、極真空手では、猫足立ちや後屈立ちがこの形状をとります。
先の項で取り上げた「ナイハンチ立ちを「左右いずれかに捻ったものが実戦の立ち方である」という本部朝基の言葉は、まさにこの撞木立ちのことだと僕は考えています。
撞木立ちは、足の裏を床から移動させず、左右に向きを変えれば「そのまま」撞木立ちになります。
前屈立ちは、左右の足幅が肩幅に開いているため左右を向いた際は、反対の足を肩幅ずらさなければ前屈立ちを保つことはできません。
これは実戦上、とても大きな違いです。
つまり、言い方を変えれば前後の敵に対し、床から足を離さずに向きを変え対峙できるのが「ナイハンチ立ちと撞木立ち」であるという重要性です。
空手も沖縄時代は撞木立ちが基本であったものが、現代空手の動きでは「安定性」を求めるためか、肩幅をとるようになり、それに伴い「半身の構え」事態が正面を向く傾向が強くなっています。つまり急所を守れない立ち方です。
昔の空手は、下図のように立ち方が一直線になっています。




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